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イム・スルレ監督作品『飛べ、ペンギン』 チェ・ギュファン取材レポート [映画紹介]


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こんにちは 上野まり子です。
今年2月に東京・中野区のポレポレ東中野で開催された「真!韓国映画祭」は場所を変え、現在大阪で開催中だ。韓国映画界から、気鋭の映像作家を選りすぐった最新作を一挙公開するという企画のこの映画祭、オムニバス形式で製作されたイム・スルレ監督の『飛べ、ペンギン』やこの作品が初長編作となるプ・ジヨン監督の『今、このままがいい』など4作品が上映されている。
東京での開幕日である2月27日には4作品の全監督はじめ『飛べ、ペンギン』に出演した俳優チェ・ギュファン氏が舞台挨拶に登壇した。これに先駆け2月18日には『飛べ、ペンギン』の上映会が東京四谷の韓国文化院ハンマダンホールで行われ、主演チェ・ギュファン氏が舞台挨拶に立っている。

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早期教育、熟年離婚、新しい家族の形など今の韓国が抱える様々な問題を痛烈に突き付けながら、そこから軽やかに、かつ自由になる主人公たちの姿を斬新で作品性豊かに描く珠玉の映画『飛べ、ペンギン』。人権問題を多く取り上げているイム・スルレ監督は、国家人権委員会はこれまで7作品、40人にも及ぶ監督たちが参加して映画制作をしてきたが、今回は断りきれない私の性格を見越して人権委員会から強い要請でこの作品を撮ることになった。第1回目に参加したが、今まであまりにも深刻な題材を取り上げたため観客動員数が減少の一途を辿っていた。その為重いテーマは避けたかったとしている。また従来複数の監督で製作されていたオムニバス形式だが、今回は全てを一人で担当することになった。また監督はシナリオも自身で書いている。その題材については多様な問題からどれを取り上げるべきか悩んだと言う。取材に当たっては主にインターネットなどで行ったそうだ。日本でどのように受け入れられるか気になったと言うプロデューサーは、この作品が今映画祭の中で最も低予算で製作されたものでキャスティングに当たっても俳優に趣旨を話した上、過去にイム・スルレ監督作品に出演したことがある俳優、出演したいと望んでいる俳優に出演してもらった。製作委員会という特別な方法により、俳優やスタッフも出資しての製作となった、30年のキャリアを持つベテラン俳優達も安いギャラだが素晴らしい作品に出演でき感謝されたとエピソードを話した。
イム・スルレ監督は『ワイキキ・ブラザーズ』という初作品を撮影した頃は韓国社会が暗い時代だった。『彼女の重さ』あたりから少し明るくなり、年齢と共に心境も変化したと語った。
この作品で酒席になじまない新入社員役を演じたチェ・ギュファン氏は俳優にとって、監督が何を表現したいかを解ることが大切な事、作品の中で何を語りたいかを明確に理解した時が演じ易いと言う。その点イム監督は気楽な雰囲気の中で何を表現したいか明確だったと言う。他の俳優が羨ましがるほど食べるシーンが多かった彼は、暖かな雰囲気を作ってくれて美味しく、楽しく撮影に臨むことが出来たと監督の心遣いに感謝した。
日本、韓国ともに社会問題は一貫性がある。韓国社会は機会均等ではないが、社会のシステムだけに反発するのではなく、ユーモアと笑いの中に人権の問題を取り込み、現実を、余裕を持って指摘することによって受け入れ易くなる。個人個人の特性、変化は大切なもの、今後も社会における弱き人々に憐憫の情を持ち、社会問題を取り上げ続けていく。映画を観終わった後に楽しさと共に人権問題の再認識となれば良いと話すイム・スルレ監督、その鋭い眼差しに、事を正面から取り上げる強さを感じた。
イム・スルレ監督は東京での映画祭初日舞台挨拶で、『飛べ、ペンギン』の絵コンテをサイン入りで観客にプレゼントした。韓国社会では同じものを食することにより連帯感を持つようになると話したイム監督、この日の上映後のパーティーで出品4作品の監督全員、チェ・ギュファン氏、映画祭実行委員のメンバーは観客との特別な時間を持ち親睦を深めた。

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真!韓国映画祭実行委員会メンバーと映画祭協賛者
 

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さて両舞台挨拶で“この映画には、残念ながらペンギンは一度も出てきません。”と繰り返したチェ・ギュファン氏は実は現在大阪に語学留学中だ。勉強中の流暢な日本語での挨拶に上映会に訪れた観客を大いに沸かせた。
特別上映会が行われた2月18日、ハンマダンホールでの舞台挨拶で日本でのこの映画に対する高い関心に出演者全員が喜ぶだろうと代表して感謝の辞を述べた。
人権の問題を扱う映画は従来堅苦しく難しいという印象を与えるが、この映画は現代の韓国人の生活をリアルに描きながら、ユーモアを盛り込み暖かい視線で描かれている。日本でも共感を得られるだろう。なぜなら人間が誰しも持つ人権の問題を扱っているからだ。<自分の人生が大切なら、他人の人生も大切にしよう。>、この映画は韓流スターの出演もなく、派手なアクションやストーリー展開があるわけでもないが地味でも素朴で心温まる感動を与えられるだろう、何故タイトルにペンギンが付いたのか、考えながら見るのも面白いだろうとこの映画を紹介したチェ・ギュファン氏。フォトセッションの後に囲み取材が行われた。

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日本語での挨拶に緊張したと話すチェ・ギュファン氏、因みに<ウテンカクマエノクシカガオイシカッタデス。>の太字は韓国人にとって難しい発音だそうだ。演じるにあたりキャラクターの性格について自身との共通点を見つけることに苦労したが、監督にこの人物は人が悪いわけではなく、他人と趣向が違うだけだと説明を受け演じやすくなったと話す。韓国男性は軍隊に行っているため年功序列を重視し、多少権威的だ。一方韓国女性も社会進出が多くなってきていると現代韓国を分析するチェ・ギュファン氏、論理的で筋道だった物言いに私は思わず“監督になるつもりは?”と訊いてみた。すると以前は舞台演出もやっていたと言う返事。今は演じることに大きな喜びを感じているようだ。だが多くの優秀な演技者は演出も手がけていると、将来演出をすることに少し希望を残しているようだ。
幼い頃から興味があった日本に留学するにあたり、文化を知る為には言葉を習得することが肝心だと思った彼は多くの映画関係者や芸能人を輩出している大阪を選んだという。日本に住んで見ると韓国とは多くの相違点があったと話す。標準語と関西弁の聞き分けは出来るようになったが、日本語の微妙な言い回しは難しいそうだ。
ところで一番好きな映画は『ゴッドファーザー』、アメリカへ移民したイタリア人と在日韓国人に多くの共通点を感じたという。日本映画では井筒和幸監督作品『パッチギ』、崔洋一監督作品『血と骨』が好きで在日韓国人を扱った映画に出演してみたいと言う。また日本の監督では他に北野たけしなどが好きだそうだ。刑事役が多かった彼は世の中にこんな人間もいたのかと思わせながら共感を持てる人物を演じてみたいと言う。因みに通訳とのタイミングなどを褒めたところ、この日通訳を担当したのは日ごろ習っている日本語の先生、彼のたっての要請だったそうだ。それでも練習を積んだと答えた。
ところでチェ・ギュファン氏を初めての見る方もいると思い、取材の中から彼のプロフィールを掻い摘んでみた。
身長は184cm、シューズサイズ28cm、血液型A型。性格はA型らしく几帳面でまじめ。趣味は水泳とドラマ出演の為に習った乗馬、家の近くの海辺をランニングするのが日課。最新出演作はイ・ビョンホン主演ドラマとして話題の『アイリス』。日本ではマネージャーやコーディネーターもついていないため衣装は自身で買ったユニクロ製。それでもホームステイ先の方からプレゼントさせたペンギンのアクセサリーを付けて限られた中でも気を遣っている。夏までは大阪に住み、その後東京に移り、映画の勉強も始めるそうだ。こうして和やかな囲み取材は彼の誠実さがにじみ出たものとなって終了した。

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この映画に出演したことで一番印象的だった事はこうして多くの日本の皆様と会えたことと話すチェ・ギュファン氏、<私、あなた、すなわち皆が共に生きるという事を一度考えてみては?>と観客に問いかけた。皆さんはどのようにご覧になっただろう。

*チェ・ギュファン氏は現在神戸に住み、大阪の語学学校に通っているそうだ。6月に東京に移ると言っていたが、予定を変更し5月には東京へと移動することになったそうだ。

◆◆
 

【映画紹介】

≪真!韓国映画祭 in 大阪≫

期間: 4月3日(土)~4月30日(金)
会場: 第七藝術劇場   大阪市淀川区十三本町1-7-27 サンポードシティ6F
       http://www.nanagei.com/
     TEL 06-6302-2073 

主催 :「真!韓国映画祭」配給委員会
(キノアイジャパン、シネ マスコーレ、シネマコリア)

「真(しん)!韓国映画祭」公式サイト 
http://cinemakorea.org/rkcf/


『飛べ、ペンギン』

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(C) 2009 INDIESTORY Inc. ALL RIGHTS RESERVED.

監督 イム・スルレ 出演 ムン・ソリ、パク・イヌァン、チェ・ギュファン

これって私のこと? ドキリとさせる痛快人間ドラマ!
早期教 育に熱心な母親、酒席になじめない新入社員、熟年離婚の危機にある初老の男…。市役所に勤める人々とその家族の物語を、ユーモアたっぷりに描いた群像劇。

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