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『黒く濁る村』カン・ウソク監督、パク・ヘイルインタビュー [韓国俳優取材REPORT]


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11/20(土)公開
丸の内TOEI、シネマスクエアとうきゅう シアターN渋谷ほか全国ロードショー!

オフィシャルサイト
http://kurokunigorumura.com/

こんにちは 上野まり子です。
韓国映画の超話題作『黒く濁る村(原題 苔)』が11月20日(土)、いよいよ公開となる。
これまで全てオリジナル脚本で製作してきた『シルミド/SIRUMIDO』(‘03)のカン・ウソク監督が原則を破り、初めて原作のある作品の映画化に挑んだ。その原作とはウェブ漫画『苔』(2007)、最終回までに3600万の閲覧数という驚異的な大ヒットとなった韓国の国民的漫画だ。
原作者ユン・テホはカン・ウソク監督が手がけるからには良い作品になるに違いないという期待感が、当初の違和感をも越えたという。
さてウェブ漫画としてすでに大衆から大きな支持を得ていた今作の主人公ユ・へグク役にはパク・ヘイルを という要望が大だったという。いわば大衆がキャスティングを押し上げたと言える。パク・ヘイルはホン・ジュノ監督の傑作『殺人の追憶』('03)で容疑者役としてブレイクした演技派であり、人気俳優でもある。
そして元刑事でチョンド村の村長として君臨するチョン・ヨンドク役には実力派俳優チョン・ジェヨン。原作者ユン・テホの想像を超えるキャスティングとなった。辣腕刑事時代から70歳代秘密を握る村長までを高級セダン1台分も費やしたかつらなど特殊メイクで全てを一人で演じた。チョン・ジェヨンが完全に老人になっていなければ意味がないと監督はインタビューに応えている。
また脇を固めたのはユ・ジュンサン、ユ・へジン、キム・ジュンペ、キム・サンホ。そしてヘグクの父ユ・モッキョン役を演じたのはホ・ジュノと名優が勢揃いだ。そして謎の女イ・ヨンジにはユソン。謎めいた男達の中、彼女も大きな鍵を握る。
今作品は権威ある映画祭「第47回大鐘映画大賞」にて監督賞、撮影賞、音響技術賞、美術賞の4冠に輝いた。また「第18回利川春史大賞映画祭」では最優秀作品賞、監督など7部門を受賞している。
今作品は10月23日から31日まで開催されていた東京国際映画祭「アジアの風」部門の招待作品として上映された。



光栄にも東京国際映画祭招待上映の為に来日したカン・ウソク監督、パク・ヘイル氏へのインタビューが実現したのでご紹介する。なお、このインタビューは5社共同となった。

10月27日、東京渋谷のセルリアン東急ホテルスウィートルーム、大監督カン・ウソク氏、そして人気実力とも備わる若手俳優パク・ヘイル氏へのインタビューだ、私も久しぶりのインタビューで少々緊張を胸に入室した。
インタビューの為に用意されたソファーや椅子、その控えの場から和やかに談笑するカン監督やパク・ヘイル氏の声が聞こえている。
折角のインタビュー、今日は私の質問をQとして表示して感想を交えてお届けする。
さて時間となり揃って登場したお二人、インタビューの場はピーンと張り詰めた。

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これまでは全てオリジナル脚本で作品を発表してきたカン・ウソク監督だが、初めて原作のある作品の映画化に踏み切った理由について、原作は韓国の漫画の中でも群を抜いて映像美、ストーリーの構成が素晴らしい作品で魅力を感じた。しかし自分が監督をするという事に映画人始め多くの人が驚いたようだ。これまでと違うスタイルと言われるが、個人的にはスリラーは好きなジャンルで機会があれば撮りたいと思っていた。似合わない服を何故着ようとするのか、監督を変えろというという書き込みさえあったが、是非やりたいと欲が出たと語った。またヒット作ではあるが原作はあくまでも漫画、ストーリーの飛躍やその展開など漫画特有のものだ。その映画化にあたっては漫画では描かれていない部分の埋め合わせをしたり、修正してラストを作り、新しい一本のシナリオを作るよりも容易なことではなかったが、やり甲斐があったと言う。

私の質問順番は4番目、まずは自己紹介をするのがこの場合の習わしだ。
“『上野まり子のアジアンスターインタビュー』上野まり子です。”とご挨拶すると監督は“じゃあ、こちらね。”とパク・ヘイル氏に華を向けて笑った。実はこの時まで大物監督はにこりともしなかった。勿論『上野まり子のアジアンスターインタビュー』が指す<スター>とは俳優やアーティストだけではない事は読者の皆様は先刻ご承知と思う。
当然質問のスタートは監督へ。

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Q:原作の『苔』のイメージをどのように表現したか。
*『黒く濁る村』の原題は『苔』だ。この質問は私が試写を拝見しての感想から出た。
カン・ウソク監督:『苔』は恐怖を象徴しており、良いタイトルだと思った。<苔>はいつ出来たのか解らないうちにその場に蔓延り、しっかりと根を下ろす生命力がある。恐怖もいつ迫ってくるかわからない点において共通している。目には見えないまま追い詰められる恐怖感と合致する。また明るい場所に於いても白い恐怖というものがある。決して暗くはないが<苔>という事で恐怖が表現できると思った。観客が時間や空間に関係なく押し寄せてくる恐怖を味わえるように作品に取り組んだ。
Q:人間にも苔が張り付いている感じを受けたが?
カン監督:同感だ。
Q:困難だった事は
カン監督:登場人物が多いという点で苦労した。助演者にも明らかな動機や人物像で充分な役割を与えたいと思った。その為上映時間の短縮が難しかった。主演者以外の登場が長いと観客が退屈する場合もあるが、助演者の一人一人のストーリーをしっかり描いたことは失敗ではなかったと思っている。ただし一人ひとりを際立たせるのには苦労があった。
*ここで私は“当初2時間40分は少々長いと思った。”と正直に申し上げた。しかし拝見してみると全く長さを感じさせなかったと続けた。するとパク・ヘイル氏は監督にすぐさま拍手を贈った。監督も“ありがとう”と笑顔を見せる。
助演者はその一人一人が主演級だ。新人監督が、撮影したフィルムをカットするのが惜しくて長くなったのとは全く質が異なる。大監督をしてこのようにカットするのが難しいという事は、いかに一人一人の俳優が精魂込めて撮影に臨んだか、その演技がどのように凄かったかが自ずと解る。
この点は後日行なわれた東京国際映画祭特別招待上映の舞台挨拶で監督自身が話題にしていた事で明確となった。それは後日お届けする舞台挨拶レポートで。
インタビューの中から少し詳しくお話しよう。

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チョン・ジェヨンのキャスティングについては当初ネットユーザーから強い拒否反応が出たという。しかし原作を読んだときからチョン・ヨンドク役はチョン・ジェヨンを於いて他にないと直感したと監督。年配の俳優が若作りをするということでは成り立たない役、老け役はメイクでこなせるという確信があった。30年の歳月の過去や現在を行き来する役としてメイクも上手くいった。最終的にはチョン・ジェヨンが一番の賞賛を浴びた。今後チョン・ジェヨン、パク・ヘイルの2トップはなかなか観られないだろうと語っている。
原作者のユン・テホ氏も、二人の俳優のエネルギーがいかにハーモニーを生むかを重要視したのだろうと語っている。

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さてユ・ヘグク役を演じたパク・ヘイル氏だが、すでに原作は読んでいたという。
カン・ウソク監督からオファーがあり、出演が決定するまで僅か一日、その後すぐに準備に取り掛かったという。ユ・へグクは観客の視線として演じた。観客が自分の視線として観てくれたら成功だろうとした。
原作はあるものの、映画は監督の芸術だときっぱりと言うパク・ヘイル氏、監督が原作をどのように捕らえているかを良く聞き、監督の要求は何かを突き詰めたと役づくりについて語った。また共演者と息を合わせる事も重要で良く話し合い、現場でのチームワークを大切にしたとエピソードを紹介した。
またチョン・ジェヨン氏との共演について、敵対する役が上手くいくかと思うほど普段から親しい仲。実年齢よりかなり高い老け役は難しいと言われており、回りからもその様な心配の声も上がったが、チョン・ジェヨン先輩ならきっと上手く演じるだろうという確信があった。親しい故に難しいという事もあるだろうが、自分としては返って集中できた。俳優としての人生も良く知るチョン・ジェヨン先輩との演技は楽しかったと振り返った。
また多くの実力派先輩と共演したパク・ヘイル氏は、先輩達は皆舞台出身で駆け出しの学生時代にお会いした方々だ。人間の深みを描いた作品で諸先輩達全員と共演できた事は嬉しい限りだ。其々個性やスタイル、力や存在感を持つ諸先輩達から多くの事を観て感じ取る良い機会となり、今後の財産となるだろう。監督に感謝するとした。
さて少し本編についても触れておこう。
村人にとってヘグクの存在はどのようなものだったのか?カン監督は語る。
へグクの父親は村人全員の人物や源罪を知る人間としてその存在は大きい。村人はヘグクの父親に会うことで癒され、反省し、新しい人間に生まれ変わろうとする。しかしそれは同時に村人が罪の意識や劣等感を持ち続ける起因にもなった。ヘグクの父の死により、これからは肩の力を抜き、気楽に生きられると思っていた矢先に父親と瓜二つのヘグクが登場した。それはまるでヘグクの父が生き返ったと同じだった。へグク自身は父の葬儀の為に村に来たわけだが、それは同時に村人に取っては苦痛の種となり、再び罪の意識が甦る事になる。ヘグクの存在そのものが村人に死を意識させるもので、排除したいという強い意思が働いた。

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ではその様なヘグクを演じたパク・ヘイル氏に。
Q:微妙な心理状況を演じるにあたり特に注意した点は?
パク氏:閉鎖された村に一人客人のように乗り込んで行く。そして主演級の俳優が演じた村人の一人一人と対峙し、ぶつかり合う。また劇中ではいつも死が漂っており、一瞬たりとも緊張を緩める事は出来なかった。その緊張感は最初から最後まで続き、ストレスから健康を害した事もあった。舞台は小さな村だが、一方社会と捉える事も出来る。ただ楽しいだけの撮影は1%もなかった。作品が持つ力、人が持っている力に押しつぶされそうだった。寝ている時でさえ考えてしまって突然起きる事もあった。これは監督にも話していない事だが。肉体的にも精神的にも大変苦労した作品となった。まさに<苔むした、黒く濁る村>に一人で居る気分だった。
Q:お互いの感想は?
*折角監督、俳優が揃った席という事で、お互いにどのようなイメージを持っていたか、そして実際に接してみてどのようだったか率直に聞いてみたいというのが質問の趣旨だ。
カン監督:パク・ヘイル氏のキャスティングは当初少々心配もあった。それはヘグクというキャラクターの執拗な性格をいかに演じられるかが重要だったからだ。これまでその様な役を演じていないパク・ヘイル氏が<執拗さ>や<燃え滾るような激しさ>を表現する事が出来るかと案じたが、それは杞憂に過ぎなかった。彼ならより以上の要求にも応えられただろう。
今後はその様な激しい役も演じて欲しい、ルックスからは想像できない侠気を表現できる俳優だと思う。一緒に仕事が出来て嬉しかった。
パク氏:カン監督とは初めての仕事だったが作品は観ていた。これまで足りなかった多くの部分をカン監督が埋めてくれてよい仕事が出来た。今作は監督の作品としての深みや広さが見て取れる作品だと思う。監督の次回作は更に強さの中に柔らかさを称えた『グローブ』で、現在仕上げの作業中だと聞くが素敵な作品が拝見できると期待している。
Q:監督、俳優として其々最も大切にしている事は?
*この質問は私がこれまで番組をやっていた頃から続けているインタビューした全員への質問だ。
カン監督:監督として最も大切にしている事は<観客>だ。それは新人監督の頃から変わらない。どのような作品を撮ろうとも観客の求めているものか、観客の好みに合っているか、愛される作品だろうかと常に自分に問い掛ける。もし興行成績が目も当てられないほどの惨敗だったら映画監督を辞める。観客が入らないと言う事はマーケットを見る目を失ったという事だと同時に監督をしている資格がないという事だ。常に<観客が望むもの>かを考え勉強を怠らない。

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パク氏:映画は世界と触れ合える手段だ。映画を通して様々な事を問いかける。観客と語り合える作品を撮りたい。監督とは違い、もし興行成績が悪くとも次回作に出続ける、まだ若いので。
ここで “金がないからだろう!”と監督、会場も笑いに包まれた。

東京国際映画祭の特別招待上映を前にした心境についてワクワクすると言うカン・ウソク監督、これまでも『シルミド/SILMIDO』('03)、『トゥー・カップス(原題)』('93,’96)、『公共の敵』('01)などで日本の観客と出会うチャンスはあった。笑う壷も韓国人と同じで受け取り方や印象が同じなのだろう。機会があれば日本の俳優との仕事をしてみたいと思う程、日本のマーケットにも関心を持っている。多くの観客に観て欲しい。
今作品はカン・ウソク監督が<人間が生きていく姿>を扱ったもの。村は人間の縮図という側面も持っている。文化や言葉の違いに関わらず、通じるところがありお楽しみ戴けるだろうとパク・ヘイル氏。
“ありがとうございました。”と言う言葉でインタビューは終了となった。

さて、イ・ヨンジが最後に出てくるところは、<私はこの様に思うが、皆さんはどうか>という観客への問い掛けだ。ヨンジが計略をし、ヨンジが作戦を立てたという設定にしたのだが、どこまでがヨンジの計略だったかは観客の見方に任せようと思うと監督。
30年前に起きた祈祷院での集団殺人事件―秘密を握るのは村長と3人の村人、そして一人の女。はたして父の死の真相は?その素顔は?30年前の事件の真相は・・・・。
巨匠カン・ウソク監督が人間の業、人間心理を深く抉り取る『黒く濁る村』、今週末公開だ。

【追記】2010年11月26日
嬉しいニュースが飛び込んできた。
カン・ウソク監督が言ったようにチョン・ジェヨン氏が韓国最大の映画の祭典「第31回青龍映画賞」にて、とうとう主演男優賞を射止めた。そしてユ・ヘジン氏も助演男優賞を受賞した。言うまでもなく監督賞はカン・ウソク氏。『黒く濁る村』はこの映画祭にて主要3部門を受賞したことになる。またカン・ウソク監督はこれで韓国の全ての映画賞で監督賞を受賞し、驚異の3冠制覇という快挙を成し遂げた。

【当サイト内関連ページ】
東京国際映画祭 舞台挨拶レポート
http://uenomariko.blog.so-net.ne.jp/2010-11-20

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【作品紹介】

原題:MOSS
2010年 韓国 
161分/カラー/シネマスコープ/ドルビーSRD/PG12
監督:カン・ウソク(『シルミド/SILMIDO』、『公共の敵』1.2、『韓半島』他)
出演:パク・ヘイル (『殺人の追憶』『グエムル-漢江の怪物-』他)
   チョン・ジェヨン(『トンマッコルへようこそ』『彼とわたしの漂流日記』他)
   ユ・ジュンサン
   ユ・ヘジン
   ユソン
   ホ・ジュノ 
   他

【ストーリー】
韓国で340万人動員の大ヒット!
欲望の果てに見える人間の哀しみを描く極限のミステリー
父さん――、
あなたはこの村で何をしていたのですか? 何故死んだのですか?
謎めいた村を探るうちに、村人たちの清濁の二面性が不気味に浮き彫りに!

都市生活とは無縁の緑豊かな村に、青年ユ・ヘグクがやって来る。父が亡くなったという知らせで駆けつけたのだが、父と親しかったらしい村長も村人たちも、彼の出現に困惑を隠さない。幼い頃に別れた父とはいえ、死因すら不明では納得できず、ヘグクは村にしばらく滞在することに。小さな商店を開いている妙齢の女性ヨンジの家に下宿したヘグクは、村長たちばかりか、このヨンジも、この家も、いや、村全体が、秘密の闇を抱えていると察知する。だが、ヘグクがその正体を探り始めると、村人がひとりまたひとりと死んでいくことに! 
彼らが隠し通そうとしている秘密、その始まりは、30年前にさかのぼるのだった……。

 

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mimi

本日また素晴らしい作品が日本で公開されたことをとても嬉しく思っています。
私も東京国際でのこの作品の上映をとても楽しみにしていました。今回上野さんのインタビュー記事を読んではあの日を思い出してにやついています。そして更にお二人の今後への期待が高まりました。
あの時の受賞についての監督の正直コメントにはほんとに笑ってしまいましたよね。
とにかく時間を感じさせずにラストまで持って行ってくれるのは流石です。
パク・ヘイルさんのファンでもあるのですが、生の彼の素敵さにもびっくりでした!!
タイトなスケジュールの中、来て下さった監督とパク・ヘイルさんに感謝です!
たくさんの方に観て頂ける事を期待。
by mimi (2010-11-20 23:36) 

上野まり子

mimi様

ご訪問ありがとうございます。
このインタビューが出来ました事は大変光栄で
関係者の皆様に感謝しています。
試写を拝見しての率直な感想を申し上げましたが、
とても丁寧にお答え戴き、皆様にもお伝えできたかと思います。
29日にはTIFFでの舞台挨拶がありました。
こちらのレポートも掲載中ですのでご覧下さい。
私も多くの方にご覧戴きたいと思っております。

またお越し下さい。
by 上野まり子 (2010-11-21 13:26) 

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